國體の本義 前田慶一 現代語訳
上巻
國體(国体) 國體の本義(国体の本義)
皇 位
1 天皇
天壌無窮の神勅によって定まれる万世一系の天津日嗣(あまつひつぎ)の御位である。
即ち天孫降臨に際して天照大神が瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に下したまうた
「豊葦原の千五百秋の瑞穂の國は、是れ吾か子孫の王たるへき地なり。宜しく爾皇孫就きて治せ。行矣宝祚の隆えまさむこと、當に天壌と窮りなかるへし。」
との神勅は、炳乎(へいこ:明らか)として日星の如く、神国日本の國體の根本義、我が日本精神の神髄を明らかにせられたものであって、列祖(れつそ:御歴代天皇)相承(う)けて惟神(かんながら:神代の昔から)の大道(たいどう:正統にして大きな道)日に維(こ)れ新たに、悠久三千年建国の精華(せいか:麗しいところ)、歳と共に維れ揚(あが)れる所以(ゆえん)である。
憲法第一条に
「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」
とあり、同第三条に
「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」
とあるを始め帝国憲法、皇室典範(こうしつてんぱん)の条章は、この法規によって新たにこの大原則を樹(た)てんとするのでなく、実に開闢(かいびゃく:国の開け始め)以来の天皇即国家の精神を闡明(せんめい:明らかにする)したものに他ならない。
外国に見るごとき所謂(いわゆる)権力服従の関係を基調とするとか、人民の利害を主眼とするとかいうが如(ごと)き根柢(こんてい)なきものとは全然比較するを許さないのである。
天皇の絶対神聖であらせられ、無上の尊厳であらせられると同時に、臣民に対し暦朝無限(れきちょうむげん)の慈愛を垂(た)れ給い養い来られたことは我が國體を明徴(めいちょう)にすることによって自ら明らかなるべきものである。
憲法上諭(じょうゆ:前文)に
「朕祖宗ノ遺烈(いれつ)ヲ承ケ萬世一系ノ帝位ヲ踐ミ朕カ親愛スル所ノ臣民ハ卽チ朕カ祖宗ノ惠撫慈養(けいぶじよう)シタマヒシ所ノ臣民ナルヲ念ヒ其ノ康福(こうふく)ヲ增進シ其ノ懿德良能(いとくりょうのう)ヲ發達セシメムコトヲ願ヒ」
とあるのは、以て皇位の尊厳と御歴代の臣民に対して抱かせ給うた大御心(おおみこころ)を拝することができる。
「皇位」 とは憲法及び皇室典範の用語であって、古書には「天皇位」と書いて「あまつひつぎしろしめす」と訓ませてある。
2 皇位継承
皇位の尊厳が天壌無窮の神勅により、確立された國體の根源であることはいうまでもなく、開闢(かいびゃく)以来君民の文は厳(げん)として定まり、皇族以外にして皇位を継承することは絶対にない。憲法はこれを力強く表現して、第二条に
「皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス」
と明示し、皇室典範第一条に
「大日本国皇位ハ祖宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ継承ス」と明示されている。
即ち皇位継承のご資格は次の如くである。
一、祖宗の皇統であらせられること
二、男系の皇統であらせられること
三、男子であらせられること
歴史上の事実として、
推古(すいこ)天皇、
皇極(こうぎょく)天皇、
齋明(せいめい)天皇(重祚(ちょうそ):二度天皇になる)。
持統(じとう)天皇、
元明(げんみょう)天皇、
元正(げんしょう)天皇。
孝謙(こうけん)天皇、
称徳(しょうとく)天皇(重祚(ちょうそ))、
明正(めいしょう)天皇、
後桜町(ごさくらまち)天皇
の十代八方の女帝(じょてい)の例があらせられるが、何(いず)れも当時のやむを得ない事情によるものであって、決して皇位継承の本則ではない。
以上
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